P2P CDN


P2Pとは、”Peer-to-Peer”の略で、クライアント側にもファイル送信の役割を持たせた配信方法になります。

P2Pプロトコル

仕様がよく知られており、有名なプロトコルとしては、以下のようなものがあります(プロトコルの解説は別の記事で書きたいと思います):

参考文献:

P2P CDNの課題

P2P CDNとは、CDNとP2P機能を持ったクライアントにより構成され、P2P機能によりCDN側の配信量を減らす事を目的としています。しかし、P2P CDNは、技術的には有望なのですが、ビジネス的に上手く行っていません。この原因を乱暴に言うと、「P2Pはコントロールが難しく、実際には網に対して過度の負荷を掛ける。また、CDNも十分安価になっており、面倒なP2PよりもストレートなCDNのほうが扱いやすい」となるのですが、個別要素について解説したいと思います。

上り帯域に対する制限

現在、多くのISPにおいてアップロードの転送量規制もしくはP2P通信に対する規制(速度制限等)が行われています。そのため、ユーザ心理としては、真っ当な用途(LinuxディストリビューションのBittorrentによる配布)であったとしても、上り大域の消費に敏感になっています。

また、携帯網の場合、電波帯域の有効化のために「下り帯域>上り帯域」とする流れになっており、網の構造上、上り帯域が制限されます(このため、携帯網では上り帯域を消費するP2Pをきつく制限しています)。

駐在側クライアントへの抵抗

前項の上り帯域に対する制限にも関連しますが、PCを立ち上げている間、裏でCPUを消費しつつ動作しているP2Pクライアントに対しては、多くのユーザが抵抗感を持つと思われます。

また、セキュリティ上においても、P2Pクライアントをインストールする際にPC上のファイアウォール設定を緩める必要があります。そして、P2Pソフトウェアがクラックされた(もしくは設定をミスした)場合、PC上の任意のファイルを外部に拡散させることになり、セキュリティ上の視点でも好ましくありません。

ライブにおける流量の増加

P2P型ライブ配信における最大の課題は、「上流のピアが、いつ消えるかわからない」という点になります。つまり、P2Pにおけるピアは個人のPCであり、気まぐれに視聴を停止します。その場合、そのピアの下流にあるピアはライブストリーミングが停止します。そのため、ライブストリーミングの中断を避けるためには(ざっくりとした話ですが)2箇所以上から同じライブストリーミングを受け続ける必要があります。

つまり、P2Pの特徴である「任意のタイミングで起こりえるピアの消滅」に対応するためには、倍以上のトラフィックが必要となります。

ツリー型網構成

もっとも顕著な例は日本における携帯網です。携帯網からInternet網へのGW は東京と大阪2拠点にしかなく、携帯電話間のIP通信は、どちらかを経由します。そのため、極端な例ですが、札幌にある2台のスマートフォン間のIP通信は、すべて東京を経由します。

つまり、端末間の距離と実際のネットワーク上の距離は大きく異なります。特に携帯網については、P2Pが生かせる「ネットワーク上の距離が短いピア間の通信」というのは、それほど多くありません。固定網についてもPPPoEによるトンネリングが行われており、携帯網ほど極端ではなくなっていると聞きますが、影響を受けます。

企業環境におけるセキュリティ

業務ライブ放送や業務データの一斉ダウンロード等が定常的にある企業環境は、技術的にはP2P型を上手く生かせる環境です。しかし、セキュリティの観点からは、P2Pは危険すぎる存在です。

つまり、現在の企業環境は、各種GWによりCPと外部(もくしは企業内サーバ)間通信を監視し、悪意のあるものを遮断しています。一方、PC間の通信については、監視が十分でなく、1台のPCがクラックされた場合、その影響は企業網内に広がります。

そのため、PC間通信については最小限にするのが常套手段であり、PC間ビデオ会議ソフトウェア等についてもファイル交換機能については無効化する運用が行われています。この意味で、汎用のWebRTC等については、その上で何が流れるか外部からコントロールできないため、禁止するのがトレンドになりつつあります。