CDNのメリットであるピーク対策について、技術面を解説します。
CDNのコストメリット
CDNを利用することにより、次の図のようにオリジンサーバへのトラフィックを平準化させることが可能になります。そのため、CDNの利用は、一時的なキャンペーンのための設備投資を不要とし、トータルの運用費用を圧縮することが可能です。
設備運用の壁
スモールスタートさせたWebサイトも、長期的には、成長とともに必要となる配信キャパシティが増加していきます。代表的な設備の壁としては以下のものが知られており、これを越えそうなタイミングにおいて、設備増強が必要となります。
- 同時接続数
- 200程度:安価なホスティングサービスでは、これ以上の同時接続があると500エラー(サーバエラー)が発生します。これについては、エラーというよりホスティング事業者側が設定した制限です。
- 1,000~10,000程度:専用サーバ化すると同時接続数は改善されますが、これについてはサーバのスペック、使用ソフトウェア、および設定に依存します。目安としては30万円程度のサーバにチューニングを行って同時接続10,000程度です。
- 帯域
- 100Mbps(共用)
- 多くの場合、安価なメニューでは上限帯域を100Mbpsに制限しています。巨大なクラウドサービスにおいても、安価なメニューでは、インスタンスあたり100Mbpsに制限されいることが多いので注意が必要です。
- 100Mbps(占有)、1Gbps(共用)、1Gbps(占有)
- ハウジングサービスにおいては、トラフィックに応じて契約回線をアップグレードすることが可能です。ただし、以下の点について注意が必要です:
- 料金が跳ね上がる
- 上位ルータの収容が変更となりメンテナンス(回線断)が発生する
- ハウジングサービスにおいては、トラフィックに応じて契約回線をアップグレードすることが可能です。ただし、以下の点について注意が必要です:
- 100Mbps(共用)
運用の壁に対するコストメリット
長期的なCDNのメリットとしては、この設備運用の壁にぶつかったときに、設備増強ではなく、CDN購入によりオリジンサーバの負荷(同時接続、帯域)を減少させられる点があります。これにより、以下の図のように、設備投資のタイミングを遅らせることが可能になり、費用削減の効果があります。