CDNとは、配信サーバと広域負荷分散装置により構成された、配信用の仮想的なネットワークであり、ファイルの高速かつ安定配信に使用されます。
CDNの意味
英語では「Content Delivery Network」となり、日本語にすると「コンテンツを配送するネットワーク」という意味になります。また、日本では、間違った表記や意味付けが多くみられるため、ここで正確なものを記載します:
- Contentは不可算名詞であるため、Contents Delivery Networkという記述は間違いです。日本語ではコンテンツ・デリバリー・ネットワークと呼ばれていますが、英語読みではコンテント・デリバリー・ネットワークです。
- 名前にネットワークが含まれていますが、物理的な専用ネットワークではなく、複数のCDNサーバを結んだ仮想(オーバーレイ)ネットワークを使用します。また、ネットワークということはCDNの本質ではなく、キャッシュ型配信サーバを多数持つことが本質的なCDNの特徴です。
CDNの目的
CDNは、Webコンテンツを高速かつ安定して配信することを目的として開発されました。主なメリットは、高速化およびピーク対策です。
利用方法
CDNは、簡単に導入・廃止を行うことができます。実際に、キャンペーン期間だけ使用するという契約も多く見られます。CDNの利用面での特徴としては、以下の項目があげられます:
- すでに稼動しているサーバに対してオプション(後付)として利用可能です
- サーバ運用先(クラウド、iDC等)とは独立したCDN事業者から購入可能です
配信対象
配信対象としては以下の2種類があります:
- オブジェクト配信:リッチメディアのみをCDNで配信する
- 全サイト配信:Webサイト全体をCDNで配信する
オブジェクト配信
サイズの大きいリッチメディア(イメージ・動画・プログラム)のみをCDN配信させる利用方法です。HTMLファイルについては、元サーバから配信させるため、リアルタイムに配信状況を把握できるメリットがあります。
全サイト配信
Webサイト全体をCDN配信させる利用方法です。旧来のCDNでは動的なHTMLコンテンツを上手く処理できなかったためオブジェクト配信にすることが多かったのですが、最近のCDNでは動的ファイルへの対応も進み、特殊なサイト(動画配信サイト・プログラム配布サイト)を除き、全サイト配信が主流になりつつあります。
アクセラレータ
CDNはプロトコルアクセラレータとしてとして利用することも可能です。具体的には次のような利用方法があります:
- SSL CDN
- 元サーバがSSLに対応していなくても、SSL CDNを購入することにより、サイトのSSL化が可能です。
- IPv6 CDN
- SSL CDNと同様の効果があります。
一般的な誤解の解消
- 現在のCDNは、ファイルサイズの大きいコンテンツに最適化されているわけではなく、HTTPで配信可能なコンテンツであれば、どのようなコンテンツでも配信できるように最適化されています。
- CDNは、複数の配信ポイントを持つことを特徴としており、同じコンテンツ配信を請け負うサービスであっても、単独の配信ポイントしか持たないものは、厳密にはCDNと呼びません。そのため、グローバルなCDNサービス(世界に多数の配信ポイントを持つ)であっても国内に単独の配信ポイントしか持たない場合、そのサービスは、国内配信についてはCDNで無いとも言えます。
- 昔、CDNは大企業等が使う高価なサービスでしたが、現在はコモディティ化が進み、無料で使えるCDNも登場しています。