CTIAが発行しているAnnual Wireless Industry Surveyの2014年版(2015年6月)から主要なデータを紹介します。
主要データ
2014 | 2013 | 2012 | |
Wireless Penetration | 110.0% | 104.3% | 102.2% |
Wireless-Only Households | 44.0% | 39.4% | 38.2% |
Monthly Wireless Data Usage/Subscriber | 338.4MB | 269.1MB | 122.3MB |
Annual Wireless Revenue | $187.8B | $189.2B | $185.0B |
Combined Wireless Service and Equipment Revenue | $224.1B | $214.8B | $207.3B |
Capital Investment | $32.1B | $33.1B | $30.1B |
2014年主要トピック
市場規模を見ると、全体としては2013年と同じく4%の市場拡大となりました。しかし、その内訳としては、以下のように機器販売は大きく(41%)伸びたものの、モバイルサービスは2000年以来初の減少(0.7%)に転じています:
- モバイルサービス:0.7%の減少
- 機器販売:41%の増加
- 合計:4%の増加
一方、トラフィックの伸びについては、以下のようになり、2014年は落ち込んでいます:
- 2014年:26%
- 2013年:120%
- 2012年:69%
- 2011年:123%
主要なデータ(ワイヤレス収入、データ量)をグラフ化すると以下になります:
補足:日本についてもモバイルトラフィックの伸びは減速しています。
考察
これらの数字を見ると、米国モバイル市場は完全に成熟期に突入し、価格競争が過熱している状況だと思われます。具体的には、弱小組(T-MobileとSprint)が率先して価格競争を行い、VerizonとAT&Tがこれに合わせ通信単価を下げています。米国では、FCCが意図的にこの競争状況を維持しており、モバイルキャリアにとっては厳しい時代になりますが、一般消費者としては好ましい状況と言えます。一方、日本では、3キャリアが均衡しており、積極的な値下げは行っていません。その結果、モバイルトラフィックの伸びは減速しており、日本のモバイルInternetの発展に対して、大きなブレーキになっていると思われます。
また、これは、消費者からのパケット収入に限界が見えたとも言え、米国各社のパケット着信課金への取り組みが加速している原因であるとも思えます。
補足:米国価格競争の状況
- 2014年2月:Verizon
- データ上限を増量(1GB/$50→2GB/$50、2GB/$60→3GB/$60等)
- 2014年3月:AT&T
- 2GBのデータプランを値下げ($55→$40)
- 2014年8月:Verizon
- データ2GBの通話つき標準プランを値下げ($90→$60)
- 2014年8月:Sprint
- Family Share Pack:競合(月額$100で10GB)と比べて2倍のデータプラン(月額$100で20GB)
- 2014年8月:T-Mobile
- 他社からの乗り換えに対し、データ通信プランを1年間無料化
- 2014年8月:Spirnt
- 月額$60で無制限(データ、通信、メッセージ)プランを開始
- 2014年9月:Sprint
- 月額$50で無制限(データ、通話、メッセージ)プラン(iPhone6/6 Plus専用)を開始
- 2014年9月:AT&T
- データ上限を倍にするキャンペーン(プロモーション期間中に申し込めば、データ上限2倍の期限なし)を開始
- 2014年10月:Verizon、Sprint
- データ上限を倍にするキャンペーンを開始