ISP CDN BOF @ JANOG 42
BOF概要
- 主体イベント:JANOG 42
- 日時:2018年7月11日16:30~18:00
- 会場:三重県総合文化センター(三重県津市)
BOF資料の一般公開は行わない予定です。興味のある方は以下のメーリングリストに参加されるか、鍋島までご連絡ください。
https://groups.google.com/forum/#!forum/isp-cdn-jp
背景
2018年、ストリーミング業界では、放送型サービスのユニキャスト配信が、以下の二つの視点で大きな話題となっています:
- Internet向けライブコンテンツの増加
- 放送コンテンツ(テレビ放送)のInternet同時配信
ここで、後者の放送コンテンツのInternet同時配信については、2018年現在、総務省を中心として様々な議論が行われています。そして、2020年の東京オリンピックにからみ、今後さまざまなトライアルが行われる予定です。そして、放送コンテンツのInternet同時配信は、災害時の情報伝達の手段ともなり公共性が高いサービスと言えます。
また、ストリーミング配信はWeb配信に比べCDN構築が容易です(代表的な例が大手OTTによる自社CDNの運用)。さらに、ライブであればサーバに必要とされるリソースも少なく、比較的安価なサーバで10Gbpsオーバの性能を出すことが出来ます。また、運用技術としても、マルチCDNが一般的になっており、複数CDN(一般CDNと複数のISP CDN)を水平統合して使用することも可能になっています。とは言え、ISP主体で運用するCDN運用には様々な課題もあります。特にストリーミングのような大規模配信については、収益面と運用面の課題が大きく、思い切った単純化と割り切り、そしてストリーミングにフォーカスしたアーキテクチャ・チューニングによる、コストカットとオペレーション単純化が必要になると思われます。
また、放送という公共性の高い話題と関連するため、総務省等へ協力を仰ぐことも可能です。7月11日のBoFには間に合いませんが、総務省は放送コンテンツのIntenet同時配信についてパブリックコメントを募集しています(7月9日締め切り):
- 放送コンテンツの製作・流通の促進等に関する検討委員会 最終報告書(案)に対する意見募集 -視聴環境の変化に対応した放送コンテンツの製作・流通の促進方策の在り方-
- 最終報告案のまとめとパブリックコメントのポイント
BoF主催者の鍋島は、パブリックコメントに以下のようなコメントを送る予定です:
頁番号 | 章 | 項目 | 意見 |
17P | 第1章1. ‐(2) | ③同時配信が本格化した場合の通信ネットワークへの影響に係る課題
<関係者間の連携に関する意見> |
放送コンテンツのネット同時配信によるトラフィック増加は、ISP(特に地方ISP)の経営に悪影響を与えると思われます。そのため、以下の二つの視点における検討が必要だと考えます:
① ISPの連合体が運用するCDNの検討:CDNは、ISPにとって上位ISPからのトラフィックを減らす技術でもありますが、従来はCDN事業者が主体であるサービスでした。一方、放送型(ライブストリーミング)配信用のCDNは、従来型(Webコンテンツ配信)よりも実装・運用が容易です。また、マルチCDN技術等により、地方ISP等が運用する小規模CDN群と大規模CDN事業者の水平結合運用も可能になりました。このように、ISPが運用するCDNにおける技術的な困難性は年々低下しており、その実現について検討が必要だと考えます。 ② CDN配信費用のコスト負担: CDN配信は過当な競争となっており、事業者によっては他のサービス収益(トラフィックのトランジット販売、サービス運用など)での補填のもと、赤字でのCDN配信を行っている可能性もあります。補填するサービスを持たない地方ISP等がCDNを運用した場合、放送の公共性も考慮に入れ、正当な運用コストを賄える配信費用の支払いが必要だと考えます。 |
今回のBOFでは、ライブストリーミング(放送型サービス)向けCDNのISP主体での運用について議論したいと思います。ただし、ストリーミング+CDNというニッチな分野の話になるため、背景と技術的な可能性についてストリーミング&CDNの専門家であるBoF主催者の鍋島が解説しつつ、ISP CDNの可能性について議論したいと思います。また、ISP CDNについて可能性があるという結論になった場合、以下のようなタスクをこなすグループが必要となります。この場合、どのようなグループ形成が相応しいかについて議論したいと思います:
- ISP CDN運用について事業計画作成
- 総務省等の委員会等で業界団体として発言
アジェンダ(予定)
- 動画配信の現状
- 海外の状況
- 国内IPサイマル(IPユニキャストによる放送コンテンツのInternet同時配信)の状況
- 議論の状況
- 本格化した場合の影響(トラフィック増加)予想
- メディア配信事業
- 原価割れ配信、Akamai社リストラ
- CDNの整理
- 動画用CDNとWeb用CDNの比較
- HTTP型動画配信(HLS、Mpeg-DASH)の普及
- サイト配信とオブジェクト配信
- プレイヤー側マルチCDN
- 協調モデルによるCDN運用
- ソリューション提供+レベニューシェア型
- CDNピアリング型
- IPS Cache + コンテンツ挿入
- 動画特化の協調運用型CDN
- 新アーキテクチャの可能性
- オブジェクト配信
- 配信ホスト名固定、SSL証明書共用
- ローカルDNSによるナビゲーション
- ISP CDNとグローバルCDNの高精度な水平結合(マルチCDN)
- フォールバック
- プレイヤー側マルチCDNよるバックアップ動作
- オブジェクト配信
- 新アーキテクチャの可能性
- 動画用CDNとWeb用CDNの比較
- ISP連合によるCDN運用
- ターゲット
- 絞り込み(動画、当面はライブ・放送)
- 技術要素とアーキテクチャ
- 最大限の単純化
- コスト負担とレベニューシェア
- TBD
- ターゲット