視聴解析の分類

Posted on 2018年7月10日2018年7月10日 by 鍋島公章

視聴解析の分類

以下の目的のために動画視聴解析の分類を試みます

視聴解析に対する包括的な理解
視聴解析プロダクトの比較や新規開発

視聴解析の目的

視聴解析は大きく分けて以下の3種類に分類されます

単独動画に対する視聴解析
- 概要
  - 動画がどのような人にどのように見られているか
- 目的
  - 視聴解析全体に対しベースとなる解析
  - ライブのような1回きりのイベントに対する視聴解析
動画サービスにおける視聴解析
- 概要
  - VoDサービスなどにおける分析
  - 詳細な情報(コンテンツ、ユーザ、視聴状況)の取得が可能であり、様々な分析が行われている
- 目的
  - 様々な施策により、新規加入や解約率(チャーン)がどう変化するかを分析する
  - ユーザに対するリコメンデーション生成
動画による販促・広告における視聴解析
- 概要
  - 動画が消費行動に影響を与えるか？という分析
  - (ユーザの行動分析という大きな枠組みでの分析における)一つのパラメータとして動画視聴が使われる
- 目的
  - 動画コンテンツの効果測定

分析手法

クラスタ分析
- 計測対象をクラスタ化(分類)し、その特徴や施策に対する効果を分析する
- 手法
  - ユーザのクラスタ化
    - 属性分析
      - 性別、年齢、住所等
    - RFM分析
      - Recency (直近いつ)、Frequency (頻度)、Monetary (金額)で分析
    - デシル分析
      - ユーザを10等分
    - チャーン分析
      - チャーン(退会率)を主軸とした解析、退会しそうなユーザのあぶり出し
  - コンテンツのクラスタ化
    - ABC分析
      - コンテンツの売れ筋調査(A:売上の上位70%、B:売上の25%、C:売り上げの残り5%)
関連性分析
- 計測対象の関連性を分析する
- 手法
  - コンテンツ間の関連性
    - アソシエーション分析、バスケット分析
      - コンテンツ間の連係、ユーザへのリコメンデーション
貢献分析
- 計測対象の結果（購買）への貢献を分析する
- 手法
  - アトリビューション分析
    - 動画視聴の貢献度をマクロに決定
  - 購買への貢献度分析
    - 認知貢献(再生回数)、検討貢献(再生完了)、行動貢献(コンバージョン発生)
  - カスタマージャーニー分析、パス分析
    - 購買へ遷移パスにおいて、動画視聴がどのように出現するか？

解析対象データ

視聴解析における解析対象は以下の三つ(誰が、どのコンテンツを、どのように視聴したか？)に分類される

ユーザ
コンテンツ
視聴行動

ユーザ

ユーザ属性
- ユーザID 、ユーザ名
- 姓名、年齢、性別、嗜好、その他
ユーザ単位の視聴行動データ
- 行動披瀝
  - 訪問披瀝、再生披瀝
- 総数
  - 総視聴時間、サイト訪問数

コンテンツ

コンテンツ属性
- コンテンツ名、コンテンツ長、ジャンル
コンテンツ単位の視聴行動データ
- 総数
  - アクセス数、視聴者数、訪問数、再生時間
  - 総配信量
  - 視聴エラー※
    - プレイヤー内部
    - ネットワークエラー
      - 再バッファリング、フレーム落ち、ダウンロード失敗
  - 視聴率(TV的)
- 平均
  - 平均完結率、平均再生離脱率、平均再生時間、平均視聴ビットレート
  - 平均ダウンロード速度
  - 視聴エラー(※と同じ)
- 時間軸
  - 同時視聴数、再生開始数、
  - 視聴ビットレート、ダウンロード速度
  - 視聴エラー(※と同じ)

視聴行動

プレイヤー(ソフトウェア)情報
- ソフトウェア情報
  - プレイヤーソフトウエア、ブラウザ、OS
- IPアドレス
  - AS番号、ISP、国情報
  - 固定網、モバイル網
- ネットワークプロトコル
  - ネットワーク層(IPv6、IPv4)、トランスポート層(TCP、UDP、QUIC等)、アプリケーション層(HTTP、RTMP等)
- 配信方式
  - MPEG DASH、HLS等
視聴状況
- ユーザのプレイヤー操作
  - コンテンツ指定
    - URL等の投入
  - 再生関連
    - 再生開始、一時停止、停止、シーク指定(開始、終了)、再生速度(2倍速等)指定、ビットレート指定(マルチビットレート)、音量変更(アップ、ダウン)
  - その他操作
    - ウィンドウの最大化・通常化・最小化
- 再生状況
  - 再生開始、再生中(再生位置変更)、再生終了
  - シーク中、シーク位置
  - 再生速度(2倍速、3倍速等)
  - コンテンツのビットレート

ダウンロード関連
- ダウンロード状況
  - ダウンロード開始、ダウンロード中、ダウンロード停止(アイドル)中、ダウンロード終了
- バッファリングの進捗状況
  - 十分な量のデータがバッファに溜まった(ダウンロードが完了した)
    - 最初のフレーム、バッファリングなしに再生可能、早送りが可能
- ダウンロード速度
  - チャンク単位のダウンロード速度、速度のゆらぎ
- サーバまでの距離
  - レイテンシ、ジッタ
視聴エラー(※と同じ)
QoE
- 主観品質評価(アンケート調査、段階評価、MOS値)
  - ACR (Absolute Category Rating)
  - ACR-HR (Absolute category rating with hidden reference)
  - DCR (Degradatoin Category Rating)
  - PC (Pair Comparison)
  - DSCQS (Double Stimulus Continuous Quality Scale)
  - SSCQE (Single Stimulus Continuous Quality Evaluation)
  - SAMVIQ (Subjective Assessment Methodology for Video Quality)
- 客観調査との相関