リアル・ユーザ・モニタリング(Real User Monitoring, RUM)とは、Webのパフォーマンス計測をリアル(実)ユーザのPC(もしくはスマートフォン)から行う手法である。一方、この手法と対比されるモニタリングとしては、シンセティック(人工)モニタリング(計測サーバからパフォーマンス計測を行う)がある。
比較
概要
RUMとシンセティック計測の大きな違いは以下のようになる:
RUM | シンセティック | |
計測元 | 実ユーザ(PCもしくはスマートフォン等) | 計測サーバ |
計測頻度 | ユーザのアクセスタイミングに依存 | 一定間隔 |
計測の信頼性 | 高い(ラストマイル・実クライアントからの計測) | 低い(データセンタ・擬似クライアントからの計測) |
計測のコントロール | 困難(計測数、計測元のコントロールは難しい) | 容易(事前準備した計測サーバにおける計測数のコントロールは容易) |
普及度 | 採用している会社はまだ少数 | 多くのパフォーマンス計測サービスで使用されている |
メリットおよびデメリット
RUM | シンセティック | |
メリット | 計測の信頼性が高い ・ラストマイルからの計測 ・計測ポイント数が多い 障害検知の精度が高い |
計測のコントロールが容易 ・計測ポイント ・計測タイミング ・エージェント種別 開発中サイトの計測が可能 |
デメリット | 計測のコントロールが困難 ・計測数(ピーク時多い、閑散時少ない) ・計測数(ユーザの確保が必要) 開発中サイトの計測はできない |
計測の信頼性が低い(本物の計測ではない) ・計測ポイント(データセンタ) ・エージェント(擬似クライアント) データセンタ等への設備設置が必要 |
アクティブとパッシブ
さらにWeb計測には、アクティブ計測とパッシブ計測の二つがある:
- アクティブ計測(トラフィック生成型):プローブ(計測のみのためのリクエスト)を発行する(強制的な計測を行う)
- パッシブ計測(監視型):計測のみのためのリクエストは発行しない(既存トラフィックの計測を行う)
シンセティック計測については、基本的にアクティブ計測のみであるが、RUMについては両方の計測がある:
- アクティブRUM
- 実ユーザに計測プローブを発行させる
- パッシブRUM
- 実ユーザのトラフィックを監視する
サービス例
サービス別に分類すると以下のようになる:
RUM | シンセティック | |
アクティブ | Cedexis(CDN計測) NS1(トラフィック管理) SOASTA(特殊モード) Mercury |
Catchpoint 1000 Eyes New Relic Rigor Keynote Gomez |
パッシブ | Pingdom SOASTA Cedexis(サイト計測) New Relic |
- シンセティック計測
- 古くから多くの会社でサービス化されている
- サービスが一定のパフォーマンスを発揮できているか?の確認に使われる
- アクティブRUM
- (CDNなどの)比較のための計測方法として使われ始めた
- Webサイト計測としては、これからの技術
- パッシブRUM
- ユーザ体験(UX)の実計測として、近年、多くのサービスが登場している
- ユーザ体験とコンバージョンの相関分析など一歩踏み込んだ解析に使われる
補足
- 典型的なRUMとシンセティックの中間として、実ユーザのPC上で計測プログラムを定期的に稼動させる方式もある(例:Gomez Peer)。
- APM (APplication Monitoring)およびEUM(End User Monitoring)との違い
- APMおよびEUMは計測対象の違いを区別した用語であり、
- APM:アプリケーションの状況を計測
- EUM:エンドユーザの状況を計測
- RUMおよびSynsethic Monitoringは計測元の違いを区別した用語である
- RUM:エンドユーザから計測
- Synsetic:計測サーバから計測
- APMおよびEUMは計測対象の違いを区別した用語であり、
参考資料