インターネットの主権(サイバー主権)とは、各国がインターネットについて最高権力を保持すべきという考えである。対象としては以下の二つに分かれる:
- ネットワーク事業
- 具体例
- 日本:NTTやモバイル通信事業に対する外資規制
- 具体例
- ネットワーク上の情報
- 具体例
- 中国:グレートファイアウォール、インターネット情報サービス管理弁法(ICPライセンス)
- 具体例
関連する項目としてインターネットガバナンスがある。
日本の状況
通信、放送に関しては以下の法律により外資の日本における事業が制限されている:
- NTT法
- 電波法
- 放送法
状況についての整理
Internetに対し国単位の主権を設定することは、従来、自由と協調を特徴とするインターネットの健全な成長を阻むものであるとされてきた。しかしいくつかの視点から、状況が変わりつつある。
セキュリティ
インターネット上の犯罪(攻撃)がビジネスとして成立し始めた(いわゆるランサム/身代金・攻撃など)。しかし、Internetの仕組みの改善(Internet全体の防御)は困難であり、一朝一夕に防御策は実現できない。また、共産圏の国がインターネット攻撃を国策として行っている可能性も出ててきた。これら攻撃に対しては、企業や国単位で地道な防御を行うしかない。
また、DDoS防御はエニキャスト(攻撃通信を地域単位で分散させる)を主要技術として使っており、これは国単位での通信分断との親和性が高い。
放送網
インターネットは、長らくWebを中心としたテキスト・イメージ情報の提供メディアであった。しかし、現在では、動画による放送型メディアとしても使われ始めている。そして、メディアとしての接触時間もインターネットはテレビを抜こうとしている。つまり、インターネットは放送網以上に以下の役割を担っている:
- 言論報道のインフラ
- 災害情報などの国民生活に不可欠な情報を提供するインフラ
CDN
インターネットにおいてユーザ間通信は、事業者間のトラフィック交換をベースに運用されている。一方、多くのユーザ(国民)に一時期に大量の情報を伝達するには、(Webであっても)CDNによる配信が必須となっている。つまり、マスメディア型のインターネットサービスではCDNが実際の情報伝達の鍵である。
そして、CDNは中央集権形サービスであり、CDNを握るものがインターネットインフラを握るといえる。